平成21年度の税制改正法案が3月27日に無事成立いたしました。 今回の改正は経済状況を反映し減税色が大変強い内容となっています。 そこで税制改正の重要な部分をピックアップしてお伝えします。
1.中小企業に対する軽減税率の時限的引下げ 年800万円以下の所得に対する法人税の軽減税率を22%から18%に引下げられます。
⇒最大で法人税32万円・地方税5.5万円ほどの減税効果が見込まれます。 ※これはH21.4.1~H23.3.31までに終了する事業年度について適用される時限措置です。
2.欠損金の繰戻還付の復活 中小法人等の平成21年2月1日以後に終了する事業年度が適用対象となります。具体的には前期が黒字で法人税の納税をした法人が、今期は赤字になってしまい欠損金が発生した場合等に適用されます。
⇒今まで欠損金については原則的に翌期以降7年間繰越して将来の黒字と相殺するだけでした。この改正により今期の赤字を過去の黒字と相殺できることとなり、今まで順調に利益を出し納税してきた会社などが急激に業績が悪化して多額の欠損金が生じてしまったという場合に、前期にいったん納付した法人税が還付されることとなります。 実際に現金として還付されますので効果が実感できるのではないでしょうか。 該当の法人は確定申告の時に税理士等とよくご確認ください。 ※この規定については恒久措置です。
3.商店街の活性化に向けた税制支援制度の拡充 『商店街の活性化に関する法律(仮称)』の制定に伴い、認定された商店街事業組合等に土地を譲渡した場合、譲渡所得から1,500万円を限度に特別控除の適用対象となります。
⇒商店街の空き店舗に係る土地の譲渡を促し、その土地に共同店舗その他魅力的な個店を誘致することで商店街の活性化を促進させる目的です。 中小企業庁は商店街の復活にかなり力をいれて取組む姿勢を示しています。なお『商店街の…法律』は今後の通常国会により審議が予定されています。
1.住宅ローン控除減税の期間延長と拡充 本来であれば平成20年度で住宅ローン減税は適用切れとなる予定であったものを5年間期間延長し、かつ控除額も過去最高額まで引上げられます。
⇒H20年度の最大控除額が160万円であったものが、H21、22年については最大控除額が500万円へと大幅に拡大されます。その後H23は毎年100万円ずつ最大控除額が引き下げられますので計画がある方にとっては今が追い風に感じるのではないでしょうか。 ただし、あくまでもローンを組んだ場合にローン残高に応じて控除されますので、計画は慎重になさってください。
2.住宅についての減税措置 省エネ・バリアフリー住宅改修についてローンを組まずに行う場合でも所得税額控除が受けられることができるようになります。
⇒省エネ改修工事又はバリアフリー改修工事の工事費10%相当額を所得税から控除します。ただし工事費用は200万円(太陽光発電設備の設置は300万円)が限度です。 ※現行の特定増改築(省エネ・バリアフリー)ローン控除についても期限が5年間延長されました。
3.H21及び22年中に取得した土地等の長期譲渡所得の 1000万円特別控除制度の創設 個人または法人がH21年~H22年に取得した土地を5年超保有した後売却した場合に、長期譲渡所得から1,000万円が控除されます。
⇒この規定を将来適用することによりその土地を譲渡した時の減税を確約する効果があります。ただ、適用を受けるのは土地のみで住宅は対象となりません。また、その他の特例との併用ができませんので、マイホームの場合は居住用財産の3000万円の特別控除を適用したほうが有利になることもあります。
1.相続税の納税猶予制度 平成20年10月1日以降の相続から遡及適用されます。 2.贈与税の納税猶予制度(創設) 平成21年4月1日以降の贈与から適用されます。
⇒中小企業のスムーズな世代交代を推進させるため新たに事業承継税制が創設され、今回の改正でようやく全体が整備されました。一定の中小企業の非上場株式について贈与税又は相続税の納税を一定の条件の下で猶予するもので、さらにその後の条件を満たすときは納税免除となります。 事業承継税制につきましては昨年11月のセミナーでも取上げましたが、かなり複雑な手続き等が必要になります。また、先代経営者と後継者またその他の親族との間での事前の共通認識などがかなり重要となってきます。 くわしい説明は 国税庁のHPの「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし」を参考になさってください。 具体的にご相談の方は当事務所までご連絡ください。⇒ご連絡はコチラ
1.金融証券税制 上場株式等の譲渡所得課税と配当所得課税については、基本的に現行の軽減税率(所得税7%、住民税3%)の期間が延長されることとなりました。(平成23年12月末まで)
⇒予定ではH21年より特例措置を講じた上で原則20%に引上げられることとなっておりましたが、とりあえず3年間の据え置きとなりました。なお、上場株式等の特定口座への預入れは平成21年5月31日までとなっております。手続きをされる方はお早めに…
2.自動車税制 環境性能の良い一定の自動車について自動車税の減免措置がされます。
⇒重量税(21年4月1日~24年4月30日までに受ける初回の車検時)と取得税(21年4月1日~24年3月31日までに取得する時)が次のように減免されます。 ☆次世代自動車(ハイブリット自動車、電気自動車等) ⇒ 100%免税 ☆低燃費車(燃費基準達成車等) ⇒ 75%~50%軽減 ☆最新排出ガス規制適合ディーゼルバス・トラック ⇒ 75%~50%軽減
3.「定額給付金」は非課税です。
以上、平成21年度の税制改正についてポイントをしぼりご説明いたしました。ご覧のとおり内容は減税一色ですが、さらに贈与税の改正も急遽される可能性があるかも…との報道もあります。今後の動向にはまだまだ注意が必要となりそうです。 なお、税務に関してさらに詳しい内容をご相談の方は事務所までご連絡ください。