平成23年度の税制改正法案は東日本大震災等の影響を受けたこと等により通常の成立とはかなり異なる経緯で審議されました。6月に成立した法案についてはすでにご案内をしておりますが、その際に積み残しになっていた部分で11月に成立、12月2日公布された平成23年度税制改正について内容をピックアップしてお伝えします。
1.法人税率の引下げ 国内企業の競争力を強化し外資系企業の進出を促進するため、法人実効税率を主要国並みにするため法人税率が引き下げられました。
引下げられた税率は次の通りです。
改正前
改正後
年800万円 以下の所得
年800万円 超の所得
大法人
30%
25.5% (28.05%)
中小法人 (資本金1億円以下)
18%
15% (16.5%)
※カッコ内の税率はH24.4.1~H27.3.31の指定期間での復興特別法人税を加算した税率。
2.減価償却資産の償却率の見直し 定率法の償却率について、定額法の償却率を2.0倍した償却率(「200%定率法」)に引下げられます。(改正前:2.5倍「250%定率法」でした)
3.貸倒引当金制度の見直し 貸倒引当金の損金算入制度の適用法人を銀行・保険会社等及び中小法人等に限定します。
東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保のため「復興特別所得税」「復興特別法人税」「復興特別地方税」が創設されました。
【復興特別所得税】 平成25年度~平成49年度までの25年間課税されます。復興特別所得税の税額はその年の全ての所得税額の2.1%相当額とされます。 ※この復興特別所得税に対応するために、平成25年以後の所得についての源泉徴収税額が変わります。給与等を支払う際に利用する源泉徴収税額表も25年1月以降は新しく配布されるものを使用することになります。ご注意ください。
【復興特別法人税】 平成24年4月1日~平成27年3月31日までの期間に開始する事業年度について課税されます。復興特別法人税の税額はその事業年度の法人税額の10%相当額とされます。
以上、12月に公布された平成23年度の税制改正についてポイントをしぼりご説明しました。なお、税務に関してさらに詳しい内容をご相談の方は事務所までご連絡ください。